黒澤先生
順天堂大学 特任教授 黒澤 尚 先生<当院診療日:火・木・金曜日(午後)>

■中高年のひざの痛み

変形性ひざ関節症とは・・・

中高年のひざの痛みの原因はほとんどが変形性ひざ関節症です。ひざの上の骨と下の骨がこすれ合う表面を覆う軟骨(関節軟骨)が徐々にすり減ってくるために起こる病気です。変形性ひざ関節症は体質、年齢(50歳以上)、性(女性の 方が男性より多い)、肥満(標準体重より4 倍かかりやすくなる)、筋肉の弱さ、などで この軟骨が徐々にすり減って行きます(下 図)。高齢化している我が国では、現在患者 さんの数は2000万人を超えています。  
 このような状態になると関節表面は滑ら かではなくなり、ザラザラ、ゴツゴツとな り、動かすと互いに摩擦が生ずるようにな り、これが原因でひざ関節に炎症(痛む、熱 を持つ、腫れる、水がたまる等)が生じてひ ざ関節症となるのです。

ひざの痛みでお悩みの方は、当院の医師・スタッフへご相談ください。変形性ひざ関節症

治療法について・・・

ひざ関節症を原因からすっかり治してしまう方法は今のところありません。また、ひざ関節症は5年~10年と長い年月をかけて徐々に初期から中期、中期から末期へと進行してしまうこともあります。
 しかし、適切な治療を行えば痛みはとれ、進行もせずにずっと平穏な日常生活を送ることは可能です。それには、ひざ関節症は生活習慣病の一つですから、医療機関での治療とともに、自宅での生活の仕方、適切な運動、食事や自分で行う対処法が大切です。その中心となるのが運動(リハビリ)療法です。

 

① 運動(リハビリ)療法

運動と言ってももちろん、走ったり、屈伸したりする方法ではありません。穏やかに脚を上げたり、下ろしたり、痛くなく、誰でも簡単に行える方法です。この方法を行えば、まず2~3週間のうちにひざ関節症の痛みや腫れはとれていきます。その効果は抗炎症剤(痛み止め)や関節注射(ヒアルロン酸)などと同じかそれ以上であることは証明されています。そして、この運動療法を継続していけば徐々に下肢の筋肉や関節は強化されて、痛みが出にくくなる予防法にもなります。6年前にNHKテレビの「ためしてガッテン」に出演し、「脚上げ体操」などを紹介しました。順天堂病院ではもう20年近く前から行っていて、多くのひざ関節症に悩む方々から感謝されている方法です。

関節症が進行してしまった末期関節症の方(O脚が著しい方)ではこの方法の有効性は低下します。それでも痛みは和らぎ、筋肉が強くなって脚がしっかりするなど、行って損はしない方法です。やらなくて済むようになります。                                               

  ひざ上げ体操

 当院リハビリで、専門の理学療法士が直接やり方をご指導します。

この方法を行えばもう、お薬(抗炎症剤)や関節注射(ヒアルロン酸)はずっと少ないか、あるいはやらなくて済むようになります。 

   

著しいO脚変形
著しいO脚変形

 

② 手術について

ひざ関節症が進行してしまって、ひざがO(オー)脚に変形してしまい、近くのスーパーへの買い物へ行くのも大変になった方には手術をお勧めします。手術は人工関節手術が最も確実な方法です。この方法によって痛みは確実にゼロになります。人工関節とはすり減った関節の表面を金属性の関節の形をしたもので置きかえる、虫歯の治療でいえば「さ し歯」のような方法です。現在では、80歳を過ぎ た方でも安全に行えます。手術後1週間以内に、 手術したひざもついて歩き始めるようになりま す。入院はリハビリも入れて3週間です。私は毎 年60~80人の方に順天堂病院でこの手術を行っ ています。

 

人工膝関節のレントゲン
人工膝関節のレントゲン写真

 

ひざの痛みでお悩みの方は、当院の医師・スタッフへご相談ください。